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あなたの人生の物語


by b_inmyhead
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葬式

先週の金曜日に友人が亡くなりました。
小学校、中学校の同級生ですから彼も25歳だったと思います。
彼は中学校の時に所属していた弓道部の部長でした。
彼を含めた同じ弓道部の面子、4人でよく遊んでいた記憶があります。

正直こんなところで書くような内容ではないと思いますが、あの時の気持ちが薄れていく前に書き残したいと思い、PCに向かっています。
自分の為の記事です。

連絡を受けたのは金曜日の夜、4人のうちの一人からでした。
最初はドッキリか何かと思い、何言ってるの?くらいの勢いで返信しました。
彼も仕事中で詳しいことは分からないと言っていました。
連絡を受けても半信半疑のまま、通夜に行くかどうかだけの話し合いが進みました。
僕は通夜には行かずに葬式に出席すると返信しました。

土曜日の夜にもう一人の同級生が通夜に行ったと連絡が来ました。
僕はドッキリじゃないんだな、本当なんだなと思いました。

葬儀は地元で行われるので、朝一で実家に帰りました。
最後に彼に会ったのは何時だったかなと思い返してみると、5年前の成人式の日だったということを思い出しました。
一緒に葬儀に行く2人とも5年ぶりの再会でした。
駅で2人と合流して、葬儀までの時間を喫茶店で潰しました。
1時間くらい、色々なくだらない話しをしました。
とても友人の葬式の為に集まったとは思えませんでした。
その中で死んだ彼の話もたくさん出てきました。
出てくる話のほとんどが中学校時代のバカな思い出でした。

時間になったので式場に向かいました。
式場の前に彼の名前が書かれた看板が立っていました。
本当なんだと思いました。

式場には既に多くの人が集まっていました。
中には中学時代の同級生や弓道部の人も来ていました。
遺影と棺桶と花束を見て、彼が死んだのだと思いました。

葬式の最中、僕は彼との思い出を思い出そうとしました。
部活とは別に市の弓道教室に二人で行ったことを思い出しました。
僕は途中でめんどくさくなってサボり続けていたけれど、彼は最後まで通っていました。
僕たち弓道部のメンバーで大学に入ってからも弓道を続けていたのも彼だけでした。
遺影も弓道をしている時のものでした。
林間学校の夜に好きな子を暴露しあったことを思い出しました。
CDの貸し借りで本気で喧嘩したことを思い出しました。
女子更衣室を覗きに行ったことも思い出しました。
4人で花火を見に行ったことを思い出しました。
頭の中で、死んだ彼に馬鹿野郎と言い続けました。

彼の棺桶に花を入れる時になりました。
葬儀場の人から花を受け取っても、彼のところに行くのが怖かった。
なかなか足が進みませんでした。
初めてそこで彼の顔を見ました。
痩せていました。
声をかけてやろうと思っていたのに、何も言えませんでした。

葬儀場から火葬場に行く彼を見送って、それが最後でした。
葬式が終わって僕ら3人は酒を飲むことにしました。
まだ居酒屋が開くのには早すぎる時間だったので、近所のスーパーで酒を買いました。
買い物に行く車中で、一人が同級生が死ぬのは見たくないなと言いました。
死にたくないなとも言いました。そうだなと僕は言いました。
友人の部屋に行って飲むことにしました。
5年前の成人式の日に、4人で麻雀をやった部屋でした。

小学校と中学校の卒業アルバムを引っ張り出してきて、当時の思い出を話しました。
僕が覚えていること忘れていること、友人が覚えていること忘れていることを話し合いました。
笑いあいながら酒を飲みました。
思い出話の中に、彼の名前は何度も登場しました。

暫くすると友人の母親が部屋に来て、写真をあげるの忘れてたと言いました。
4人が写った写真でした。
僕ら3人は撮ったことすら忘れていました。
5年前の成人式の夜に、酒を飲みながら徹夜で麻雀した翌朝に撮った写真でした。
皆変わったなと言いました。
一人は社会人一年目、一人は八年目のベテラン、一人は刺青背負ってるし、最後の一人は癌で死んでしまいました。
写真を見ながら、これを撮ったのが丁度5年前の今日だったことに気づきました。
葬式の日は成人の日でした。

これからはもっと頻繁に連絡するよと言って、2人と別れました。
写真は今度会うときに見ようぜと言って、友人の家に置いて行きました。
家へ帰る地下鉄のホームで、茶髪のガキが座りながら煙草を吸っている姿を見ました。
何でこんなガキが生きていて、彼が死んでしまったのだろうと思いました。
地下鉄のホームで僕は泣きました。
後悔することばかりでした。

今はただ彼のご冥福をお祈りします。
by b_inmyhead | 2008-01-19 02:35 | 日記